どうも小説が苦手な、るんです。ですが、2022年を迎え小説が苦手なままでいいのか?面白い本を食わず嫌いしているだけじゃないのか?と思い、本屋で一冊試しに買ってみました。辻村深月さんの『サクラ咲く』。今回はこの本はどうしても今の中学生〜大人に読んでほしいと思い書いていきます。
あらすじ
中学一年生の塚原マチは「自分の意見がはっきり言えない」性格に悩んでいた。
そんなある日、マチは図書館の本の中から一枚の紙を見つける。そこに書かれていた言葉は
『サクラチル』
と書かれていた。一体この便せんを誰が、何のために?と気になったマチ。その後も別の本から同じような便せんを見つける。そこで意を決して顔の見えない相手との文通を始める。
この本は三部作からなる傑作編です。このあらすじは表題『サクラ咲く』のあらすじです。
他に『約束の場所、約束の時間』と『世界で一番美しい宝石』も収録されています。
感想(ネタバレなし)
この三つのお話を読んでみて、各ストーリーの主人公たちが成長していく姿が伝わってきました。学校を舞台に多感な子どもたちがうれしさや悲しみを経て成長していました。
話ごとに主人公も変わりますし、性格も変わっていきます。それぞれの持っている性格に触れながら一緒に味わうことができます。
辻村さんの一つ一つの言葉になるほどね!となる部分もありましたし、自分の学校生活ってどんなんだったけと思い返すきっかけにもなりました。
どんな人に読んでほしいか
中学生の子どもがいる親御さんでも、もしかしたら自分の子はいろんなことを学校で吸収しているのかもしれない、悩みながらも成長しているのかも?と思えると思います。大人になったからこの小説のような青春はもう味わえないかもしれないと諦めるのはまだ早いです。
自分もそうだったな〜とかこの登場人物と似ているかもって感じるだけでも追体験ができますよ。
逆に今中学生になっている子はこの本を読んで、自分の学校生活を振り返りながら読んでみても面白いよ。自分の中学にもこんな子がいるな、頑張ろうとしている人もいれば、見えない部分で頑張っている子、いろんな人が集まる場所だからこそ感じるものがあると思う。
では、ここからネタバレを含みますので、まだ読んでいない方やネタバレを見ない!という方はここでストップして、実際に読んでみてください😊
それぞれの話の中で私が面白い、いいなと思った箇所をピックアップしていきます。
『サクラ咲く』のよかったところ
約束の場所、約束の時間
朋彦と悠の別れから決意へ
悠が朋彦と美晴を助けようとタイムスリップした結果、悠とは別れなればならない二人。永遠の別れになることが分かっていても助けたい二人だったんだなと思いました。
自分と関わった人の記憶が消えると分かっていても二人の意志の強さで忘れることがなかったところにも感動しました。
その別れから、100年後に病気で苦しむ子どもたちに向けて、勉強が苦手な朋彦が今自分にできることは何か?未来はどうやったら良くなるのか?を考えていました。悠との出来事を覚えて、努力することはできるという部分に勇気をもらいました。
サクラ咲く
あなたの頑張りはきっと誰かがちゃんと見ている
自分の意見がきちんと言えない性格のマチ。そんなマチが便せんの相手と文通していくことで成長しているところがよかったです。
便せんの中に、
『がんばってれば、気づいてくれるかな』『誰も、気づかない』
辻村深月『サクラ咲く』より
という言葉があります。頑張っていても誰も気づいてないと最初は思います。ですが、この本の中に出てくる、光田琴穂が特にマチのことちゃんと見ていてました。
字が上手なところも、陸上で頑張っている姿も。
そういうところをちゃんと見ているから、お願いしたり、やめといた方がいいんじゃない?という言葉も出てきていたのだと思います。
マチも私が頑張っているところを見ていた人がいてくれて嬉しかったんだなとほっこりしました。
どの人にも言えることなのではないでしょうか?
仕事で頑張っていても、全然成果にならないし、誰も見てくれない。本当にやって意味なんかあるのかなと思うことがあります。でもやっぱり、見ている人は見てくれています。
こういうことができるようになってきましたねと言われることもありましたし、頑張っているねと言ってもらえることがありました。そうやって見てもらえてないなと感じている時に、そういう一言がマチのように泣きたくなるくらい嬉しいものでもあるんですよね。
世界一美しい宝石
学校って誰のものだろう。
一平の「学校は誰のものだ」という問いにハッと思うことがありました。ここにはすごい共感しました。学校ってキラキラ輝いている子もいれば、目立たない子もいますよね。スポーツでいい成績を出したり、表彰されたりする子ってどこか才能も住む世界も自分と違うんだと思っていました。どちらかといえば、一平に似ている部分があったかもしれません笑
そんな目立たない子はどんな景色を見ているのかな、たぶん見え方は違うんだろうなと思いました。300人生徒がいれば、300人だけの見え方があって感じ方があるし、全員がキラキラしている子ではないです。
一平が出した答えは「みんなのもの」。みんなのものでもあるからいろんな子がその子にあった活躍ができるのだろうなあーと思ったり。
『サクラ咲く』まとめ|小説が苦手な私でも読めて自信がついた
冒頭でも小説が苦手だと言いました。本当に苦手で途中で飽きてしまうし、長い小説は眠くなってしまう、そんな私です。しかし、読書家の方達の投稿を見ていると小説を楽しそうに紹介しているではありませんか!私もそうやって楽しめる読書がしたいと思いました。
この『サクラ咲く』はどきどきしながら、読んでいて楽しいって思えました。1月2日に買い、1日で読み終えることができました。タイムスリップしたり、便せんを書いた人は1年5組のあの人なのか?それともこの人?なのか、絵本はどこにあるのか、「図書館の君」の過去など読んでいけば読んでいくほど謎がちゃんとわかっていくので、読み止まらなかったです。
さらに、朋彦が大きくなって、その子が一平だったり、図書室の海野先生がマチだったりと今まで出てきた主人公が大きくなった姿が垣間見れて、わあ、大きなって出てきている!!ってなりました。
読みやすく、自分でも小説が読めるんだというプチ成功体験を得ることができた一冊であると同時に、自分の中学校の時と重ね合わせながら読んでいけて何だか面白くも少し恥ずかしいプチ青春を味わえた気がします。
コメント
我が家にも中学生の息子くんがいます。サクラ咲く、読んでみようと思います。
コメントありがとうございます!中学生の息子さんにぜひ読んでほしいです!学校が舞台なので、いろんな行事もあるかと思います。場面場面で同じかもと思ってもらえるところがあるといいなと思います。コメントに気づかず遅くなり申し訳ありませんでした。読書で『かがみの孤城』につながるとまた新たな出会いがあるかもしれません!